いざ、津堅島へ
真っ直ぐに、残酷に、そして、あたたかく
楽しみがとまらないね。
M
4日目
台風が去った。
もとたけさんがコツコツ手を入れている。
今日は、太陽の周りに虹が丸く出た。
浜にいる人みんなが上を見上げていた。
サバニの修理予定箇所に、鑿を入れるともとたけさん曰く「羊羹みたいに」柔らかく、簡単に貫通してしまった。底が20ミリほどと、かなり薄いことが分かった。
貫通させる予定はなかったのだけど、手を入れればいれるほど「なんとかしたいなー!!」という場所が増えていく。最終的に全部なくなってしまうんじゃないか…
このように、穴を木で埋めた周りを木工ボンドと木屑で固めた箇所の周りは木が土化している。黒いのは虫がはいった痕跡。
取った。周囲を押すと、水が染み出してくる。このままだとエポキシがうまくつかない可能性がある。
異常に柔らかくなったフンドゥ。削るとおもしろいことになった。イヌマキ募集中。
途中で馬天港に漁協保有のサバニをおろしに行った。
乾燥していて、軽い。今私達が手を入れているサバニと全然違う。こうあってほしい。
保存の仕方、管理の仕方を知っておかないといけないと思った。
サバニは使われ方や場所によってはもちろん、舟大工によっても造られ方が違う。このサバニは世界でこれだけしかない形らしい。安定性の強い小柄なサバニ。
戻り、修理箇所の穴を開け、ペーパーで舟体を磨いていると犬と散歩している人と出会う。サバニの話をする。
サバニを、しかも浜の目の前でいじっている光景はなかなかない。懐かしんで、珍しがって、よく人が声をかけてくれる。嬉しいことだ。
木造のサバニが普段の生活から消えたのはそんなに昔の話ではない。「若い頃は乗っていた」と、50代60代の方がいる。まだ話がきける。それも、昔話ではなく、経験と思い出の詰まった生きた話を。
今、本当に境目にいるのだと思う。サバニを新しく作るのではなく修理するという、仕事では誰もやらないことをやるというのは、とても意味のあることだ。そして楽しい。
参加者:もとたけさん、ふみ
サバニと牛
浜を牛が歩く
それだけで、海が
ただの海になる。
浜でサバニを洗う
それだけで、海が
ただの海になる。
昔から
かわらない、ただの海
好きだな〜。
M
3日目
サバニをひっくり返し、潜る。
涼しくて、不思議な安心感がある。包み込まれているような…
光が差すところは隙間がある部分。きれい。
ひっくり返すといえば、昔サバニを出してシケにあった時、わざとひっくり返してやり過ごしたのだと聞いた。
形状として不安定であるが故に返しやすく、また、その揺れを利用して大きな魚を舟に引き入れた。
糸満ハーレーでは、競技の中に転覆ハーレーというものがある。めちゃくちゃかっこいい。是非見てみてね。
修理予定箇所をチェックしていく。
もとたけさんは終始楽しそう。
修理するなら大きいところから!ということで、早速船尾に鑿を入れる。
随分乾かしたはずなのに、湿っている部分がある。というか、木が腐っている!
前回補修した際にはまったく綺麗だったフンドゥが、ボロボロになっていた。
これは、無事なフンドゥ。下のは半分腐って薄くなってしまった。
フンドゥはイヌマキという硬い木で作られている。10年、20年と保つものがなぜたった2年で腐ってしまったのだろう。
船底なので、梅雨の雨が抜けきれなかったのだろうか。
拡げていくうちに、予想より随分木が腐っていることがわかり、修理箇所が大きくなった。
なんだかもう後戻りはできないな、と思った。
やっていく中で気付いたことがある。
前回、穴やひびを埋めるため、エポキシという工業用ボンドを使った箇所と、木工ボンドを使った。どちらも木屑を混ぜて調節して使うのだが、木工ボンドを使った箇所は見事に剥がれ、もしくは落ちかけていた。さらに木工ボンドが溶けて中の木屑が湿ったままになるのか、その部分は湿り、周囲の木が腐っている箇所がいくつかあった。
長く関われたから知れたんだな、と思う。
切り取った船尾底。再利用する。
参加者:もとたけさん、すぎさん、けいすけ、ふみ
1日目、2日目
修理に関わってから、2年が過ぎようとしている。
修理後、海に浮かべたところ、なんだか水漏れしているらしいと聞いた。
「なおしに行くわ!」そう言って、2年が過ぎた今日、サバニを見る。
最近浮かべたら、どうやら浸水具合は進んでいるらしい。
雨晒しで置かれていたこともあり、しめっていたので日を置いて乾燥させ、中のゴミを取り、磨く事から始まった。
ペーパーを使い、根気強く磨いていく。
かなり蚊がいて、私は基本的にいなかった。
泳ぎながら、飲みながら。
そして磨かれたサバニ。塗料を塗る前の、もとの杉が見えてきた。
前回の補修した箇所や、新たなひび割れも発見。
どう直していこうか。考えるのも楽しい。
1枚目は前回の補修でとりつけた箇所。海水が苦手な木だったのか、ボロボロになり虫が入っていた。
2枚目は初めから付いていたもの。おそらく松で出来ている。まったく悪くなっていない。
これは肋骨みたいなもので、必要なのか。必要やったら取り付けなければいけない。どうしよう。ということで、糸満の船大工、大城さんに相談にいった。
聞くと、「サバニはもともとこういう部材はない。これはエンジンを乗せるために付けられたもの。エンジンは振動がすごいでしょ?歪んでくる。だからこれをつけた。用は、後付けなんだよ。だからなくても大丈夫。そのかわり、私だったら板を渡すなり別で補強をするだろうね」とのこと。
かっこよくて好きなので、あるものはそのままに、腐っている部分は取り払うことにした。
参加者:もとたけさん、あやさん、こば、チャイ、りゅうちゃん、ようこちゃん、こよりちゃん、ふみ